サラダマックの失敗
日本マクドナルドの社長を原田泳幸さんがしていた頃のエピソードです。
消費者調査をすると、決まって「ヘルシーなものが食べたい。だからマクドナルドでも、サラダやラップサンドのようなヘルシーなメニューを出して欲しい」という声が多かったそうです。
しかし、その声に応えるような「サラダマック」を投入したところ、全く売れませんでした。一方、それとは正反対の志向の「メガマック」や「クォーターパウンダー」を発売したところ、大ヒットしたのです。
普通に聞けば、「ヘルシーじゃないからマックにはいかない」とか「サラダのようなものがあればマックにいくかもしれませんね」と答える人も、こころの奥では、「分厚い食べ応えのあるハンバーガーを見せられると、たまにはガブッとかぶりつきたくなる」という心理が隠れていたのです。
この心理の両面を天使と悪魔になぞらえて、「エンジェルマインド」「デビルマインド」と呼んでいます。
七つの大罪/美徳
キリスト教の考え方に、「七つの大罪」というものがあります。※
傲慢(高慢)
憤怒(激情)
嫉妬(羨望)
怠惰(堕落)
強欲(貪欲)
暴食(大食)
色欲(性欲)
一方、同じくキリスト教の考え方に「七つの美徳」があります。※
忠義・誠実
寛容
勤勉
慈愛・親切
分別・節制
純潔
節制
※諸説あります。
マクドナルドの例にあてはめると、
◎エンジェルマインド:ヘルシーなものが食べたい → 分別・節制
◎デビルマインド:たまには分厚いハンバーガーをガブッとやりたくなる → 暴食(大食)
ということです。
デビルインサイトの重要性
一流の大学を卒業し、一流の企業に就職してマーケティングや研究開発に携わっている多くの方は、人のエンジェルな部分にばかり目を向けがちです。
世の中や人間を斜めから見たり、うがった見方をしないのです。
しかし、それでは、人間の半分しか見ていないことになります。
人間には、エンジェルマインドとデビルマインドが両方あり、その両面を見てはじめて人間の全部なのです。
デコムでは、デビルインサイトをクライアントに提供し、多くの商品やプロモーションを成功に導いてきました。
その過去の知見を「マインドマンダラ」というツールにまとめ上げています。
デビルマインドとエンジェルマインドを8つのゾーンに分類し、それぞれのゾーンにキーワードや情緒ワードをプロットしたものです。
このマインドマンダラを活用することで、インサイトリサーチによるアイデア開発の精度を高めています。