真の買わない理由が分かれば、ヒットは生み出せる
LINEの元CEO森川氏は、著書で以下のような趣旨のことを言っています。
・ゲームをやめてしまった理由を聞くと、「飽きたから」と答える人が
非常に多かった
・しかし、ユーザー心理を深堀りしてみると、実はゲームに負けたときに
やめてしまう人や、お金でアイテムを買った人と戦って嫌な気分になったから
やめたという人が、多くいることが分かった
・であれば、そういう気持ちにならないゲームとはどんなゲームか?と考え、
新しいゲームのアイデアを生み出していった
一番やってはいけないのは「買わない理由を聞いてしまうこと」
あなたも、次のような経験をしたことはありませんか?
・なぜ買わないのか?消費者に尋ねても、明確な理由が返ってこない
「なんとなく・・」
・答えは返ってくるが、打ち手につながらない
「高いから・・」→じゃあ安くするしかないの?
「自分向きじゃないと思うから・・」→自分向きだと思ってもらうには、
どうしたらいいの?
その他にも、
・もっともらしいことを言うけど、真の理由なのか怪しい
・身も蓋もない、改善することができない理由
などなど
買わない理由が知りたくても、買わない理由を直接尋ねてはいけません。
では、どのように買わない理由を明らかにすればいいのでしょうか。
買わない理由の解明ルート(=法則)
買わない理由の解明ルートは、こうです。
『 価値 ⇒ 不満 ⇒ だから、買わない 』
恋愛を例に説明します。
あなたが好意を寄せている異性がいたとします。
そのひとは、他のひととお付き合いをしていて、自分に振り向いてくれません。
なぜ、自分を選んでくれないのか?
これを明らかにしたいと考えました。
価値から入って、不満を明らかにする「ルート1」
そこで、まず「ルート1」です。
意中の人がお付き合いをしているひとに、どんな良さを感じているのか?
まずは、意中の人が競争相手に感じている「価値」を明らかにします。
そして、その「価値」から見て、自分はどんなふうにイマイチなのか?を
明らかにします。
これが、「価値」から見た相対的な「不満」です。
いまお付き合いしている人の良さと自分を比較してもらうことで、
意中の人も、自分のイマイチなところを答えられるようになります。
意中の人に、「なぜ僕を選んでくれないんですか?」と聞いても、
「タイプじゃないし」とか「興味ないし」などと言われてしまい、
具体的なことを明らかにするのは、困難でしょう。
この「価値から不満を紐解く」やり方であれば、具体的な不満(=振り向いて
くれない理由)を知ることができるでしょう。
ただ、競争相手の良さから見えてくる、自分のイマイチなところを改善しても、
恋敵に勝てるとは限りません。
それは既に、競争相手が充たしていることだからです。
恋敵を上回るためには、どうしたらいいのでしょうか。
価値から入って、不満を明らかにする「ルート2」
そこで、次に「ルート2」です。
直接の競争相手ではなく、違うレベルの人の「価値」から「不満」を紐解く
やり方です。
例えば、意中の人が最近お気に入りの「ハリウッドセレブ」がいたとします。
意中の人が、この人に感じている「価値」を明らかにします。
そして、その「価値」から見て、自分はどんなふうにイマイチなのか?を
明らかにします。
ここでもルート1と同様に、「価値」から見た相対的な「不満」を紐解いています。
ここで明らかになったハリウッドセレブの「価値」の中で、
自分でも取り込めることがあれば、意中の人が自分に感じている「不満」を解消し、
さらには、恋敵に勝つことができるかもしれません。
この2つのルートを整理すると、次のようになります。
ルート1:
競合(同じカテゴリー)の「価値」から「不満」を紐解く
ルート2:
競合(同じカテゴリー)と違うレベルの物事の「価値」から「不満」を紐解く
このように、2つのルートで価値から不満を紐解けば、真の「買わない理由」が
明らかになるのです。
潜在的に感じている「価値」にディープダイブ
ただ、ここで注意が必要なのは、表層的な意見としての「価値」ではダメだ
ということです。適切なインサイトリサーチの手法を用いて、普通に聞いても
言葉に出来ない、潜在的に感じている「価値」にディープダイブしなければ
なりません。
心の奥底にある「価値」が言語化できれば、真の「不満」に辿り着くことが
できるでしょう。
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