WHY

なぜ、インサイトリサーチなのか

フォーカスグループインタビューによって製品をデザインするのはとても難しい。
多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ

スティーブ・ジョブス

先進国は1980年代後半から低成長経済に入った。
オペレーションの時代からイノベーションの時代へ。

フィリップ・コトラー

フィリップ・コトラーは、先進国は1980年代後半から低成長経済に入ったと主張しています。その低成長の時代が訪れたことで、それま で行われていた旧来型のマーケティングが通用しない、消費者が物を買ってくれない時代がやってきたと見ています。そして、低成長へと 潮目が変わった環境に合わせて、マーケティングにおいても従来と異なる考え方が必要になってきました。
それはすなわち、「お客様の意見を聞いて、物が売れる時代」の終わりです。
消費者の意見を聞き、その意見に基づいて作り上げた商品やサービスを、広告などのマーケティングコストをかけて浸透させることで市場 を作っていく。そういったオペレーション主導の従来型マーケティングが壁にぶつかり、新しい方法論が必要になったのです。
その環境変化の中で、新しい環境に適応するヒット商品を数多く生み出した企業のひとつが、アップルです。その開発をリードしてきた故 スティーブ・ジョブスは、「フォーカスグループインタビューによって製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして 見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」といった考えを明らかにして、「消費者に何が欲しいかを聞いて製品を作る こと」の限界を認識していました。
消費者に聞いて、彼らが言う通りにアイデアを作っても、期待する通りに消費者は反応してくれません。消費者は、アイデアを教えてくれ ないのです。
この環境変化を経て、「アイデアを作るには消費者の意見を聞き、その意見に応える商品やサービスを生み出せばよい」という方法論の限 界が明らかになり、それに変わる新しい考え方でアイデアを作らなければならない時代になったのです。

WHAT

インサイトとは何か

顧客を動かす
隠れた心理

新しいマーケティング、行動経済学などの理論では、「消費者は、自分の行動を正しく説明できない」と考えられています。
そう考えられる背景には、脳科学の知見に、人間の思考や行動は5%の意識と、95%の無意識とで成り立っている、そして、意識の水面下にある 95%の無意識もさまざまな意志決定に関わっている、という定説があります。この心の奥底に隠れているのが、インサイトです。

インサイトの3分類

インサイトは、次の3つに分類することができます

価値

好意的に感じているモノやコトには、ポジティブに感じているわけですから、基本的に「価値 」の心理があります。そのポジティブな心理が 、「なぜ、それを選ぶのか?買うのか?するのか?」、あるいは、「なぜ、それが好きなのか?いい感じだと感じるのか?」を読み解く手がかりになります。それが「価値」の心理の使い方です。

不満

ネガティブに感じているモノやコトには、「不満」の心理があります。「なぜ、それが嫌いなのか?イヤな感じなのか?」、あるいは「なぜ、それを選ばないのか?買わないのか?しないのか?」を読み解く手がかりになるのが、不満の心理です。

未充足欲求

「今はまだ充たされていないが、充たしたいと思う気持ち」であり、「今よりももっとこうだったらいいのに」と思う心理です。「何を充たせば、選んでもらえるようになるのか?買ってもらえるのか?してもらえるのか?」、あるいは「何を充たせば、好きになってもらえるのか?いい感じと思ってもらえるか?」を読み解く手がかりになります。

インサイト4要素

インサイト4要素
情緒
感情や気分
シーン
情緒が生まれた場面。行動や状態を伴う
源泉要因
情緒を生み出すもととなった、直接的な要因
背景要因
情緒が価値(または、不満や未充足)である背景的 な理由

インサイトは、「客観的な事実に基づく感情」でなければならず、単なる「情緒(エモーション)」をインサイトと呼んではいけません。「情緒」だけでは、的外れのアイデアを生んでしまう可能性が高いからです。

顧客を動かすアイデアを導くには、その「情緒」が生まれる要因となった「事実(ファクト)」が必要です。その「事実」が「情緒」とセットになって、アイデアを作るために初めて意味のあるインサイトになるのです。すなわち、ある「事実」が刺激となったり、背景にあるから、その「情緒」が生まれているのです。何がそう感じさせたのか?もセットになっていることで、その心理を活かしたアイデア作りに進むことができるのです。

この考え方のフレームが「インサイト4要素」です。 4要素の内、客観的事実が含まれていなくて良いのは【情緒】だけです。これはその人の感じ方の問題なので主観です。しかし、その他の3要素【シーン】【源泉要因】【背景要因】には、必ず人の感じ方に左右されない、客観的事実が含まれていなければなりません。

この客観的事実が、アイデアに直接的なヒントを与えてくれるのです。

お茶漬けのもとを買わない人がターゲットのアイデア開発事例

インサイト

インサイトイメージ1
インサイトイメージ2

アイデア

生タイプのお茶漬け

生タイプにすることで「顆粒のカサッカサッ」を解消する

カギとなった、お茶漬けのもとのインサイトはこうです。
「顆粒のカサッカサッという音が、孤独感と寂しさにつながっている」

ひとりでお茶漬けを食べるとき、顆粒のカサッカサッという音を聞くと孤独でさみしい感じがしてきて、好きじゃない。
最近は個食化で、家族と住んでいても一人で食事をする場面が増えている。
ということです。

このインサイト4要素から、お茶漬けのもとを生タイプにすることで「顆粒のカサッカサッ」を解消するというアイデアを導くことができます。

もし、これが情緒だけを捉えて、「なんとなく孤独で寂しい感じがするから、お茶漬けのもとは食べられていない」
これをインサイトとしてアイデアを考えていたら、「お茶漬けを食べてSNSでつながろうキャンペーン」のような的外れのものが導かれてしまってもおかしくありません。
「顆粒のカサッカサッ」を解消しなければならないので、これではスベってしまいます。

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HOW

「顧客を動かす隠れた心理」を明らかにするための2つの手法

感情(エモーション)からのアプローチ

学術領域:心理学(投影法) 目的:アイデア開発向き

考え方のベースは、心理学の投影法です。
まず、写真などの曖昧な投影物を通して情緒や五感などの感性を引き出します。
そして、それがどんな事実からもたらされているのか?を紐解きます。
このアプローチは、対象者が求めている感性(情緒や五感)を言語化したりビジュアライズすることができるため、「アイデア開発」に向いています。

アプローチの手法

ビジュアル刺激法

ビジュアル刺激法

たくさんの写真を刺激物として、気持ちや五感の投影を通じてインサイトを明らかにします。投影法の技術を活用し、無意識に間接的にアクセスすることを意図した調査手法です。 ※デプス版、Web版、モバイル版、リモート版の4つのメニューがあります

文章完成法

文章完成法

「刺激文」としての未完の文章を提示し、単語や句を補って意味の通る文章を完成させる調査手法。曖昧な設問により回答者の心の内面や性質を明らかにすることができます。

事実(ファクト)からのアプローチ

学術領域:文化人類学(エスノグラフィ) 目的:オポチュニティ発見向き

考え方のベースは、文化人類学のエスノグラフィです。
人の行動という客観的な事実から、感情を紐解きます。
こんなことをするということは、こんな感情を抱いているからではないか?という順番でインサイトを明らかにします。
このアプローチは、「アイデア開発」よりも「オポチュニティ発見」に向いています。

アプローチの手法

エスノグラフィ

エスノグラフィ

対象者の自宅などに訪問し、調査対象について実際の使用シーン、使用方法などの行動を観察。行動内容に関連するインタビューも併せて実施してインサイトを導き出します。

ソーシャル分析

ソーシャル分析

インサイトを探り出したい対象事象の関連キーワードを設定し、ブログなどのSNSの投稿内容を検索。抽出した膨大なテキストデータをもとに、量・質の両面で様々な分析を行います。

MROC

MROC

リサーチ専用のオンラインコミュニティ。主催側からの質問やタスクに対して、参加者はコメントを投稿したりお互いに意見などを交わします。その発言のリスニングを通じてインサイトを探索します。

データサイエンス&アート

データサイエンス&アート

消費者のネット上での膨大な行動事実データを解析し、マーケットの現状や今後の動向を可視化・構造化します。ターゲットセグメンテーション、需要予測、商品開発のヒントなどの仮説を立てることができます。