2020.01.07

競合分析フレームワーク「Points Of X」

対競合におけるポジショニングをDifference、Parity、Failureの3つの観点で考えるフレームワーク「Points of X」をご存知でしょうか。

ケビン・レーン・ケラーが1997年(日本語訳2000年)に刊行した「戦略的ブランド・マネジメント」で紹介したフレームワークであり、差別化戦略にかなり有用です。

POX1

簡単に言ってしまうと「Difference」なので差別化戦略の1つなのですが、特徴的なのは過度な差別化を防ぐために「Parity」や「Failuer」を設けている点が「POX」の面白いところです。

Parityとは「そのブランドを選ぶ理由にはならないけど、無ければ買わない理由」を意味しています。他ブランドと比較して、無いと選ばれない価値だと考えれば良いでしょう。

Failuerとは「そのブランドを選ばない理由」を意味しています。他ブランドと比較して、あると選ばれない価値だと考えれば良いでしょう。Differenceで差別化しつつ、ParityやFailuerで同質化を図る。右手と左手で違うことをしているのに目的が同じ。そこが面白いところです。

「鳥貴族」で理解するPOX

せっかくなので、POXを使って競合分析をしてみましょう。みんな大好き「鳥貴族」で考えてみます。

そもそも鳥貴族の競合とはどこに当たるのでしょうか。真っ先に浮かぶのは「やきとり大吉」「やきとりセンター」「三代目鳥メロ」などの焼き鳥チェーンです。その次が「串カツ田中」「金の蔵」「晩杯屋」などの格安居酒屋チェーンです。最後が「吉呑み」などの安く酔える店です。

どこで、どの企業と戦うかは結構重要です。せめて、そのカテゴリで純粋想起の第1候補群には入っておきたいところ。

試しに、対焼き鳥チェーン店を想定してPOXを作成してみました。HPなど色々と調べてみると、他の店に無いであろうPODを2つ見つけました。1つはセントラルキッチンを採用せず全て店で串打ちをしている点、もう1つは全ての食材の国産化に成功している点です。

POX2

品揃えでは、差別化のしようがありません。何か作れば真似されますし、むしろ品揃えはPOPになるでしょう。

一方で、殆どのチェーン店がセントラルキッチンで串を刺してから搬送する中で、鳥貴族は店で刺しているので鮮度が違う。これは他チェーンが真似できないし、競合のPOFにもなりえます。

POX3

さらに、違うPODを上げるとすると、鳥貴族は全メニュー100%国産品で揃えている点でしょう。国産品=高い、輸入品=安いというイメージですが、鳥貴族は企業努力で達成しているわけでシンプルに凄いと思いました。

問題は「口下手」なのか「うぬぼれ」ているのか、これら2つのPODが全く消費者に伝わっていないと思われる点です。おそらく「全品国産の居酒屋と言えば?」「全品店で調理している居酒屋と言えば?」と聞いても、鳥貴族の名前はまず出てこないでしょう。ちょっとお高めのスローフードな店が上位を占めるはず。

山芋は○○産と明記する、それが調達の都合上出来ないなら地域単位でメニューを変える、あるいはモスみたいに入り口に仕入れた食材の産地を書く、タッチパネルで紹介する。やり方は色々あるはずです。

POPで同質化を図り、PODで差別化を図る。差別化戦略とは、かくも難しいのです。

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