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洗濯用洗剤、お茶漬けのり、サラダマックに見る『飽和市場で失敗する』アイデアの法則

洗濯用洗剤、お茶漬けのり、サラダマックに見る『飽和市場で失敗する』アイデアの法則

これまで当たり前とされてきた方法で生み出した、一見すると期待できるアイデアをもとに開発されたものの、結果的に“失敗”の烙印を押されてしまった商品の数々…
実は、飽和市場と化した日本において失敗する商品には共通する法則があることをご存知でしょうか?

アイデアのイメージ

今回は、そんな「飽和市場で失敗する法則」を取り上げ、各法則に当てはまる具体例を紹介。さらに、失敗から得られる教訓や、飽和市場でヒット商品を開発するために必要なことについても解説しています。

3つの法則のうち、1つでも当てはまると失敗する!

多くの社員を集めた企画会議、大規模な市場調査や顧客アンケート、入念に準備したテストマーケティング…
このようなプロセスを経て、長い時間をかけて開発をしたうえで世に送り出した新商品。

しかし、下に挙げた法則にたった1つでも当てはまってしまうと、そのアイデアはまったくヒットせずにいつのまにか販売を終了するということになってしまう可能性が高いです。モノが溢れ、あらゆる市場が飽和状態となったいま、これまで当たり前とされてきた方法でアイデアを生み、商品を開発したとしても、消費者の心を捉えること=ヒットさせることはできなくなっているのです。

法則1:既存価値の延長線上でしかないアイデア
法則2:事実にもとづかない感情から生まれた“いい加減な”アイデア
法則3:表層的な不満を真に受けたアイデア

法則1:既存価値の延長線上でしかないアイデア

1960年頃、粉末洗剤が一般家庭に普及し始めてから、各メーカーは常に激しい競争を繰り広げてきました。洗濯用洗剤が提供してきた価値は「時短」「溶けやすい」「洗浄力が高い」など、多数ありますが、ほとんどの新商品はこれらの価値の延長線上の価値しか提供できていません。

洗浄力が高い洗剤はさらに洗浄力を向上させ、溶けやすい洗剤はさらに溶けやすくなる…このように既存価値の延長線上での競争を続けた結果、主要ブランドの使用満足度は軒並み90%を超え、どのブランドも顧客から圧倒的な支持を得ることができませんでした。

洗濯用洗剤に学ぶ教訓

    • 「イノベーション」によってまったく新しい価値を作り出すことが必要。
      飽和市場では、既存価値の延長線上でアイデアを生み出しても、競合との明らかな差を生み出すことは難しく、消費者からの圧倒的な支持を得ることもできません。最後は価格競争で消耗戦に陥り、疲弊するのがオチです。
      そのため例えばP&Gのジェルボールのように、これまでの「洗浄力」や「溶けやすい」という価値以外にも、「洗濯が楽しくなる」という、消費者自身も気づいていない「隠れた欲求」に応える「革新的変化=イノベーション」でまったく新しい価値を作り出さないと、飽和市場でヒット商品を生み出すことは難しいです。

法則2:事実にもとづかない感情から生まれた“いい加減な”アイデア

ある会社では、現在お茶漬けのりを食べていない主婦を対象に調査を行いました。その結果、一定数がお茶漬けのりに対して「孤独でさみしい感じがする」という感情を抱いていることがわかりました。
そして、この「さみしい感じがする」という感情だけで新たなアイデアを考えると、「お茶漬けのりを食べてSNSでつながろうキャンペーン」や、「お茶漬けのりのパッケージに印刷されたQRコードでお笑いライブの配信番組を見る企画」といった孤独感を解消するためのアイデアが浮かんできます。確かに、一見すると妥当なアイデアだと言えそうですが…。

お茶漬けのりに学ぶ教訓

      • 感情の背景にある“事実”を捉えてこそ、的を射たアイデアを生み出せる。実は上記の例でさらに調査を深めると、 「孤独でさみしい感じがする」という感情は、「顆粒のカサッカサッという音」が原因であることがわかりました。アイデアを考えるときは感情だけでなく、事実にも注目する必要があります。ここでは「さみしい」という感情の原因になっている「カサッカサッ音」を解決しなくてはいけないのです。この“事実”を踏まえると、カサッカサッという音のでる顆粒タイプから、「しっとりした生タイプに変更する」といった感情の背景にある“事実”を捉えたアイデアを導き出すことができます。一方で、 SNSの活用やお笑いライブの配信番組は“事実”を捉えていないため正解とは言えません。このように、単に感情だけにもとづいてアイデアを考えると、的外れなアイデアに行き着き、結果的に滑ってしまう可能性があるのです。

法則3:表層的な不満を真に受けたアイデア

アンケートを実施して顧客の不満を把握し、それを新たな商品の開発につなげる。
これはマーケターにとって至極一般的な取り組みといえます。たとえば、マクドナルドでは、アンケート調査で寄せられた「サラダを置いてほしい」「ヘルシーなメニューを食べたい」といった声に応えて、2006年に「サラダマック」を開発/発売しました。ところが、顧客の声を忠実に反映させたにもかかわらず、実際には売上は伸びず、商品販売は短い期間で終了しました。
読者の皆さんも、「サラダマックなんてあったっけ?」という方も多いのではないでしょうか?

サラダマックに学ぶ教訓

        • 仮面の下の隠れた感情が、ヒット商品につながる。
          その後、マクドナルドでは「ヘルシー」とは正反対の商品を開発し、今なお人気商品としてラインアップされています。それが、「メガマック」や「クォーターパウンダー」です。実は、「ヘルシー」という仮面の下で、多くの消費者は「お肉たっぷりのハンバーガーにガブッとかぶりつきたい」という強い感情を持っていたのです。しかしこの感情は消費者本人ですら明確には認識していないので、調査担当者が見つけられないのも無理ありません。
          この事例から、アンケート調査だけでは、消費者の真の感情は捉えられないこと、消費者の真の感情を捉えなければヒット商品を生み出せないということがわかります。

飽和市場で新たなヒット商品を生み出す源泉。それが“インサイト”

それぞれの失敗の教訓として、「消費者の『隠れた欲求』」、「感情の背景にある事実を捉えたアイデア」、「仮面の下に隠れた感情」といった要素を挙げました。

これらはすなわち“インサイト”です。
インサイトとは、人を動かす隠れた心理のこと。インサイトは消費者の心に確実に存在しているものの、本人ですらその存在を認識しておらず、もちろん言葉で説明することもできません。しかしこのインサイトによって消費者は実際に商品を選択して購入したり、サービスを利用したりするのです。

モノで溢れ、飽和市場となった現代日本に暮らす人々は、半世紀前と比べ物にならないほど充たされています。その結果、「自分自身でも欲しいと思うものがわからない…」という時代に突入しています。私たちはこの時代のことを「だいたい良いんじゃないですか?時代」と呼んでいます。こうした時代には、消費者の無意識に訴えるインサイトにもとづいたアイデアが欠かせないのです。
デコムではインサイトにフォーカスし、独自のフレームワークにもとづいて飽和市場においても大きなヒットにつながる商品のアイデアを生み出しています。

「飽和市場でもヒットを飛ばしたい!」をお考えの方は、
ぜひデコムの「インサイトにもとづくヒットアイデア開発」についてお問い合わせください!

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