時代と共に、消費者の価値観や行動は変わっていきます。したがって、その変化の兆しを他社に先んじて捉え、事業やブランドの戦略や戦術を柔軟に変えていくことが求められます。
しかし多くの場合において、消費者の価値観や行動の変化に気づくのは、既に大きなうねりとなり、競合他社が市場に新製品やプロモーションという形で手を打ってきた後になっていないでしょうか。
あるいは、これまで競争相手としてすら見ていなかった企業が突如として現れ、これまでとは違う新しい市場が形作られ始めた後になって、変化に気づいていないでしょうか。
事業やブランドを伸ばすためには、他社にはない新しい価値を提供し続けることが不可欠です。しかしながら競合他社のプロモーションや新市場が形成された後に手に回していたのでは、事業やブランドがなかなか伸びないのではないでしょうか。
変わった遊びから生まれた、マウンテンバイク市場
ある事例を取り上げたいと思います。マウンテンバイクの市場がいかにして創造されたかという話です。
1970年代後半、アメリカ西海岸に暮らす若者が普通の自転車を自ら改造して、山林を下って遊んでいる、という事象が変化の始まりでした。
その後、この若者たちのちょっと変わった遊びは徐々に広がっていき、1980年代にスペシャライズドという企業が、世界で初めてマウンテンバイクの量産を始めたと言われています。2000年には、アメリカの自転車市場の金額ベースで約65%がマウンテンバイクで占められるまで成長しました。
マウンテンバイクの事例で言えば、既成観念から見たらとても変な若者たちの遊びが変化の兆しだったと言えます。このように変化の兆しは、既成観念から見たらちょっと風変わりな新奇性の高い事象から始まります。
その他の事例を取り上げます。
国内のアウトドア市場が伸び続けています。この市場でも、さまざまな変化の兆しが現れています。これまでシーズンオフとされてきた晩秋から早春に「冬キャンプ」を楽しむ人の出現や、みんなで楽しむものと考えられてきたキャンプにソロキャンパー(おひとりさまキャンプを楽しむ人)の出現。
いつも固定観念の外で、変化の兆しは起き続けているのです。
では、それをどのようにキャッチすればよいでしょうか?
市場や製品を離れて、人間を見に行こう
デコムにおける基本的な考え方は「市場や製品を離れて、人間を見に行こう」ということです。
「人間を見に行く」とは、観察を指しているのではありません。「ターゲットの興味関心に寄り添う」ということです。一見するとちょっと変わった行動でも、その人にとってお気に入りのものごとであれば、それを「私たちには関係無い」と切り捨てずに、どんな価値を感じているか考え、明らかにするのです。
デコムでは、変化の兆しとなる新奇性のあるお気に入りの事象を効率的に大量に収集、分析する手法を確立しており、多くの実績があります。