INSIGHT LAB

ブランドパーパスを施策に落とし込む方法

多くのブランドや企業は、提供する「価値」や世の中に存在するための「意義」を定義して、事業活動を行っています。例えば、次のような感じです。

・ダヴ:あらゆる女性の「その人らしい美しさ」を称える
・ルイヴィトン:人生という旅を上質で濃密な経験にする
・レッドブル:世界に活力を与える
・モエシャンドン:お祝いの場を作り出す

この定義が消費者や世の中に求められる「価値」であれば、それだけでブランドの業績は伸びるでしょうか?

勿論、そうではありません。目的が良くても、手段である商品やプロモーションがターゲットの共感を呼ばないものであれば残念な結果になってしまいます。

ダヴを例に考えてみましょう。

・いまどきのターゲットの女性たちが求めている「その人らしい美しさ」とは何か?
・少し前の女性たちが価値を感じていた「その人らしい美しさ」と今では、何が変わって来ているのか?
・「その人らしい美しさ」が求められる場面は、どんな時か?
・どんな感情になれるのか?それはどんな要因によってもたらされるのか?
・その欲求の背景には、いまどきの女性たちの生活にどんな変化が起きているからなのか?
・求められる「その人らしい美しさ」に対して、いまのパーソナルケアカテゴリーに対する不満は何か?

など挙げればキリがありません。これらについての、表面的ではない深い消費者理解が、共感を呼ぶ打ち手のヒントになります。ターゲットの琴線に触れ共感を巻き起こすには、小手先の消費者理解では通用しないでしょう。

それ共感を呼びます?ちょっとズレてません?

以前、政府主導で行われた「省エネルック」という施策がありました。職場でのクーラー使用を控えても涼しく過ごせるように、スーツのジャケットを半袖にしたスタイルの提唱です。当時の大平正芳首相をはじめ、このスタイルで国会に出て大々的なPRを行いましたが、普及しませんでした。

一方、その後実施された「クールビズ」は、ビジネスマンの共感を呼び、広く普及しました。ナッジ事例としても世界中で紹介されるほど有名です。

この違いは、何でしょうか?

「省エネルック」も「クールビズ」も目的は同じです。「夏場のエアコンの使用を控える、或いはエアコンの温度を高く設定して働いてもらう」という行動・習慣の変化です。

しかし、みんなの共感を呼ぶか、呼ばないかによって、このように成果が変わってくるのです。 ちょっとズレたことをしてしまうと、せっかくの目的も台無しです。

抽象的な概念を出発点にインサイトを捉える

ブランドのパーパス(存在意義の定義)をターゲットに共感を持って受け止めてもらい、行動や習慣を変えてもらうには、どうしたらいいでしょうか。

私たちデコムは、抽象的に定義されたパーパスをテーマに人間を見に行くことを推奨しています。それこそ「人生という旅を上質で濃密な経験にした人」「自分の身の回りに活力を与えた人」はどんな人かを調査します。彼らが行なっているお気に入りの行動を調査し、そこにどんな価値を感じているのか、明らかにするのです。

テーマに沿って、ターゲットが行なっているお気に入りの行動を調査し、そこにどんな価値や不満を感じているのか、明らかにするのです。

デコムには、抽象的なパーパス(存在意義の定義)を出発点に消費者のインサイトを明らかにする独自の手法を確立しており、多くの実績があります。