単なる写真がデジタル世代にウケた理由 | 株式会社デコム
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単なる写真がデジタル世代にウケた理由

製品の内容、姿、できればパッケージも大きく変えずに、売上・利益を大きく伸ばしたい。けど、世の中の書籍は「イノベーション」を主張してばかりで、殆ど参考にならない…。

そう考える方は多いのではないでしょうか。

確かに、スマートフォンのような製品やサービスを大きく変えるイノベーションは、簡単には実現できません。何年かに1度、1社だけが実現しているに過ぎないのではないでしょうか。

一方、製品を大きく変えずに、消費者にとっての“意味を変える”ことでヒットさせることはできます。例えば、インスタントカメラの「チェキ」です。2013年から18年の6年間で、なんと4倍近く販売を伸ばしています。その理由として、世界100ヶ国以上で10~20代のデジタルネイティブ世代に親しまれていることが理由にあげられます。

SNS全盛の時代に、なぜレトロなインスタントカメラが販売を伸ばしているのでしょうか? 単なる「写真」を欲しがる理由はどこにあるのでしょうか?

チェキの“意味のリニューアル”とは?

「チェキ」が若者に受け入れられている理由は、これまで自社ブランドやカテゴリー全体が訴求していなかったけれど、消費者が求めている「新しい価値」を見つけ出したからです。

それは、消費者にとって“新しい意味”と言い換えても良いかもしれません。

製品の内容、姿を変えなくても、消費者にとっての意味、すなわち「〇〇と言えば△△」というイメージを変えれば、ビズネスは大きく伸ばすことができるのです。

そもそも、デジタルカメラへの急激な移行が進んだ2000年代に、インスタントカメラのビジネスは急激に衰退してしまいました。代表的な企業のポラロイド社も2001年に経営破綻しています。

「被写体を記録して、人と共有する」というインスタントカメラが提供してきた価値が、デジタルに取って代わられたのです。追い打ちをかけるようにケータイにカメラ機能が追加され、今度はデジタルカメラ自体が衰退し、「カメラ」自体のニーズが急激に衰退しました。

SNSにはシェア機能、RT機能が搭載され、誰でも、気軽に、簡単に共有できるようになりました。インスタントカメラが充たしてきた価値は、完全に「スマホ」に取って代わられました。

しかし2012年、ブームと言われるほどチェキが爆発的にヒットしました。

これまでの「被写体を記録して、人と共有する」という意味から、「かけがえのない贈り物」という意味に再定義したのです。

たった1枚しかないプリントに、手書きのメッセージを添えて相手に渡す。それは単なる写真ではなく、“贈り物”になります。チェキの場合、写真の外枠に(開発者が意図したかはともかくとして)コメントが書けるようになっていたことも、その新たな意味の誕生を後押ししました。

“新しい意味”を見つけるには?

インスタントカメラの「チェキ」の事例のように、自社製品の“新しい意味”をどのように見つけ出せばよいのでしょうか。その手段の1つとして考えられるのは、新しい消費者行動に着目することです。

・インスタントカメラの新しい使い方をしている人はいないか?
・インスタントカメラが新しいシーンで使われていないか?

自社商品やカテゴリーだけでなく、その周辺の生活領域まで拡げて、思ってもいなかった使い方や絶対にありえないシーンで、インスタントカメラを使っている人を見つけ出します。そして、感じられている価値は何か? つまり、消費者にとっての“意味”は何かを明らかにするのです。

ただ、大勢の人が、「それってどうやって探すの?」と思われたかもしれません。

家庭訪問をしてユーザーを観察すれば良いでしょうか。インスタやユーチューブ、TwitterなどSNSを検索すれば、良いでしょうか。

うまくリサーチデザインすれば、見つけることができます。ただ、やみくもに実施しても不確実性が高く、時間や手間ばかり要して、大した発見が無かったという事例をデコムでは何度も見かけます。

それに、新しいシーンや使い方を見つけたとしても、その価値=意味を明らかにできるでしょうか? 直接、対象者に聞けば分かるでしょうか?

デコムでは、「新しいシーンや使い方」と「価値=意味」を効率的に発見する独自の手法を確立しており、多くの実績があります。