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妻の隠れた「不満」を明らかにする方法

なぜか、商品を買ってくれない。なぜか、サービスを使ってくれない。その理由の本質が理解できれば、有効なアイデアが見つかるはずだ…そのように考えている方は多いのではないでしょうか。

しかし、買わない理由を普通に聞いてもロクな回答は得られません。そもそも理由なんて千差万別で、些末な話や本人の奥深い欲求に根ざしていない表面的な理屈を聞かされるだけで終わるのは、みなさんもご承知の通りです。

聞き方が悪いのか、消費者に聞くことが間違っているのか。果たして、どのようにすれば「買わない理由の本質」を見つけられるのでしょうか。

“買わない理由の本質”を明らかにするには?

「買わない理由」をどうすれば聞けるのか。それは、価値を糸口に不満を紐解く方法です。

夫婦の関係を例にとって説明します。

夫は、妻の機嫌がここのところ良くないと感じています。この状況を改善したいと考え、何か手立てがないものかと思案していました。

ある時、妻がこのようなことを言っているのを耳にしました。

「私のママ友はパパから結婚記念日にバーキンを買ってもらっているのに、私には何もない」

これこそが解決すべき不満だ、と考えたあなたは、頑張って貯めたお金で前から欲しがっていたシャネルの
白い時計をプレゼントしました。

その結果、どうなったでしょうか?

プレゼントを渡した時には喜んでくれました。しかし1カ月も経つと不機嫌な態度に逆戻り。夫の悩みは解決されず、かけた金額に比べて効果は長続きしない、という残念な結果になりました(実話です)。

このケースから、何が問題だったと分かるでしょうか? 正解は、夫が不満だと考えたことが、妻からしたら本質的な不満ではなかったということです。

では、どうすればその本質的な不満が見つかるのでしょうか? いきなり「本当の不満は何か?」と直接聞いても、答えることはできません。

その手掛かりとなるのが、まず相手が感じている「価値」を知ることです。妻が感じている価値から、現在どのような不満を感じているのかを紐解けば、本人も意識できていない本質的な不満が明らかになります。

価値を糸口にして、不満の本質を知る

妻がいま何に価値を感じているか、考えてみます。

最近、妻が「家に友人を招いて、得意の手芸を教える」ことをとても楽しんでいるのを思い出しました。妻はきっと「ママ友の間で自分が大事な存在として扱われている」と感じていて、それ自体が価値ではないかと考えました。

この価値から「夫との関係」にどんな不満を感じているか考えると、「自分の存在が夫にないがしろにされているように感じる」、これが本質的な不満ではないでしょうか。

そこで、この本質的な不満を解消するアイデアとして「自分も少しだけかじったことがあり、妻の大得意なテニスを一緒に始めて、教えてもらう」ということを考え出しました。

妻が自分に愚痴のように言っていたことは、表面的であり、問題の本質ではなかったということです。

本質はターゲットの心の奥に隠れている

“買わない理由の本質”は、ターゲット自身も気づいていないし、うまく言葉にできません。だから、通常のアンケートやインタビューで買わない理由を聞くことは、無意味なのです。

リサーチ難易度の高い“買わない理由の本質”を言語化できるのが、デコム独自のインサイトリサーチ手法です。