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「しいたけ占い」は、なぜこんな心に沁みるのか?

雑誌「VOUGE」で毎週占いを披露されている、しいたけさんのしいたけ占い。若者を中心に熱く支持されており、最近では30代以上の女性からも「私のこと良く分かっている!」「スゴイ!」と絶賛されています。

週に1回配信される占いコンテンツを楽しみに待っている消費者は大勢いるのではないでしょうか?

なぜ、しいたけ占いはここまで多くの消費者に愛されるのでしょうか。どのような価値が隠されているのでしょうか。私たち株式会社デコムのIATチーム(Insight Analytics Team)が調べてみました。

新奇な消費者行動に垣間見れる「孤独からの解消」「自己肯定感」

私たち株式会社デコムの運営しているサービス「Trend banK」に、しいたけ占いの人気の理由に迫れそうな事象を幾つか発見しました。

しいたけ1

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Trend banKについて https://tre-ban.com/

2つの事象から「孤独からの解放」「自己肯定感」という価値が垣間見れます。

そもそも日本は学生の自己肯定感が極めて低く、文部科学省「平成28年度全国学力・学習状況調査」によると「自分には、よいところがあると思いますか」という質問に対して、小学校6年生は20%強、中学3年生は30%が「あてはまらない」と答えています。

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日本人は「孤独」を感じやすいのではないか、とも言われています。OECDの調査では、子供の幸福度調査の中で「自分は孤独だ」と答えた日本人の子どもは圧倒的最下位の29.8%を記録しています。

また、社会的孤立に関する調査の中で「日常生活での交流がめったに・全くない」と答えた日本人は、こちらも圧倒的最下位の15.3%を記録しています。

参考:日本人は世界一孤独!?驚きのデータ
http://worldcarp.jp/blog/blog/archives/3012

私たちの一定数は孤独だし、孤独だからこそ自己肯定感も低く、「自分なんか…」「寂しいけど、そんなの言ったらバカにされる…」と悩んでいるのではないかと推察します。

新奇な消費者行動に垣間見れる「孤独からの解消」「自己肯定感」

しいたけ占いが受け入れられるのは、そうした孤独や自己肯定の低さに着目しているのではないでしょうか。つまり、自分でも気づかなかったような小さな不安や気がかりを、優しく言語化してくれて気づかせてくれるから愛されているのではないかと考えます。

「今の魚座はいい意味で「何で私こんなことやっているんだろう」という台詞が出てきたら“正解”の時間を生きています。」というような、悩みとも言葉にもならない、ちょっとしたモヤモヤをきちんと言語化してくれます。

加えて「自己肯定」を「当たり前」に振舞ってくれるしいたけさんには、孤独から解き放つような役割もあると考えています。ちょっとした悩みや不安を即座に肯定してくれる優しい言葉が続き、「そうか、大丈夫なのか」と安心させてくれるのです。

アドバイスの基本は「今のあなたは誇りにしてもらいたいのです。」「あなたは今すごいですよ。本当に良くやっています。」など、自分を認めてくれる言葉が並びます。自己肯定感ブームのなか、「そう言われてもなにをしていいのかわからない…、ことさら自分をほめることなんてない…、」という状況をシンプルな言葉で「当たり前に自分をほめていい」と思わせてくれるしいたけさんに人気が出るのは当然かもしれません。

「しいたけ占い」の持つ価値とは「誰にも気にかけてもらえない、という孤独感を解消してくれる唯一の占い」ではないでしょうか。