データにおけるマクロな視点とミクロな視点 | 株式会社デコム
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データにおけるマクロな視点とミクロな視点

あまりお金をかけずデジタルマーケティングを始めるなら、広告はGoogle広告とFacebook広告、SEO対策を済ませたWEBサイトをGoogleAnalyticsとSearchConsoleで計測するのが一般的でしょうか。

それぞれの管理画面から全体の傾向が見えてきます。週ごとのCV件数、日ごとのPV数、時間ごとの表示回数…推移からトレンドを確認できます。こうしたデータは森全体(大勢)を見るためのマクロデータと定義します。

マクロデータを眺めていると、自然とCV件数に目が向きます。

購入してくれた人がいて、してくれなかった人がいる。なぜ買ってくれたのか、なぜ買ってくれなかったのか。1人1人の消費者の意思決定をデータで読み明かしたいと思うのは当然でしょう。

データから「◎◎だから買ってくれない」「◎◎だから買ってくれた」という明確な因果関係が伺える筋の良い仮説を発見し、機会を変えてまったく違う人で再現させて、購買意欲の向上を証明したいからです。

「因果関係が伺える筋の良い仮説」は凄く大事です。なぜなら「◎◎だから××してくれた」みたいな仮説を検証する際、答え合わせできる点が多いからです。

◎◎だから××してくれたのか、実は△△だから××してくれたのか。正解・不正解をチェックするポイントが多いほど、行動の理由を伺い知れます。

さらに次回以降に仮説を立てる際、前回の反省を踏まえてより堅牢な仮説が立てやすくなります。筋肉がより付く感じがしますね。

解像度を高めるためにも、マーケター筋肉を鍛えるためにも、「因果関係が伺える筋の良い仮説」は凄く大事。大事なことなので二度言いました。

そのために、森全体を見るためのマクロデータだけでなく、消費者に関するあらゆるデータ…つまり木一本(個人)を見るためのミクロデータが必要になってきます。

買った理由、買わなかった理由、好きなブランド、好きだったブランド、普段の行動、最近買ったお気に入り、好きな言葉、マイブーム、信念…。マクロデータと違って、ミクロデータは様々な種類が考えられますね。

でも、新たにミクロデータを計測するのは面倒臭いですよね。というか、何を計測すれば良いか、どういうデータが必要か分からず迷ってしまう人もいるでしょう。

そこで、手元にあるマクロデータに目を向けます。マクロデータは森全体を表しているようで、1行1行は木を表しています。個人の行動履歴の積み重ねが週ごとのCV件数、日ごとのPV数、時間ごとの表示回数を表しているからです。

マクロの視点ミクロの視点

つまりミクロデータを新たに求めなくても、マクロデータを細分化して「個人レベル」にまで落とし込めば、必要最低限のミクロデータになるのではないか…と考えて行動に移った経験のある人は多いでしょう。

しかし考えてみて下さい。個人の行動の理由を洞察するために、森全体を見るためのマクロデータが最適でしょうか。ミクロ経済学やるのに、マクロ経済学で扱うデータを細分化すると言っているのと同義です。

GoogleAnalyticsにしろGoogle広告にしろ、管理画面で確認できる「大勢を見るためのマクロデータ」を、セグメントや時間で区切ってクロス集計したとしても、十分なミクロデータにはなりません。「1人に細分化されたマクロデータ」に過ぎないのです。

中には、そうしたデータだけで洞察に妄想の輪をかけて「これがオレの仮説だ!」と解決に導く凄腕祈祷師のようなマーケターもいます。否定はしません。しかし汎用的では無いし、再現性に欠けます。

このような現状が「データから分かる内容は限られている」論に拍車をかけるのだと思います。つまりはマイクロデータだけでは筋の良い仮説が立てられない、解像度の高い仮説が立てられないのです。