そもそも、ワークショップを行う目的とは何か
いまはまさにVUCAな時代です。未来は万人にとって予測不可能で未知のものである以上、“正解/不正解”という概念は存在しません。未来に向けた多数の“可能性”が存在するだけです。
つまり今、“未来は予測する”ものではなく“未来は創るもの”という認識に立ち、いかに“未来の可能性を見いだすこと”ができるが問われています。
新たな価値やアイデアを生み出すプロセスでは、“仮説づくり→仮説の検証”を交互に進めて行きます。
ワークショップの主たる目的は、仮説づくりです。
仮説づくりとは、“未来の可能性”をできるだけたくさん見い出す作業のことです。
だから、一人ではなくダイバーシティを効かせてチームで取り組むのです。
ワークショップでは、可能性を広げるために、次のプロセスを繰り返します。
1) 入力:脳への刺激・インプット
2) 処理:気づく・ひらめく・整理する
3) 出力:アイデアのアウトプット
1→2→3→1→2→3・・・という具合です。
以上が、オンラインであろうが、オフラインであろうが関係のない、前提の話です。
ワークショップをオンラインで実施する方法
実施のポイントは、全てをオンライン(=デジタル)で行おうとせず、オフライン(アナログ)とオンライン(デジタル)を適切に組み合わせることです。
具体的には、入力:オンライン(デジタル)→処理:オフライン(アナログ)→出力:オンライン(デジタル)という使い分けです。処理の「気づく・ひらめく・整理する」といった思考系作業は、オンラインよりもオフラインが向いています。それからチームワークの活かし方ですが、これはオンラインを通じて行います。オンラインのビデオ会議のシステムには、全員に対してコミュニケーションをとる“大部屋”と、ペアやグループに分かれてコミュニケーションをする“小部屋”の機能があり、これを活用します。また、ドキュメントをオンラインで各自が編集し、全員で共有できるシステムも活用します。
オフライン(会場での実施)にはない、オンライン(在宅勤務)ならではの4つのメリット
(1)オンラインツールを使うことで、全員のアウトプットがリアルタイムに一覧的に確認できて、共有できる。参加者のみならず、ファシリテーターにとってもメリットが大きい。
⇔オフラインでのワークショップでは、グループ内の作業進捗はリアルタイムで共有が容易だが、参加者のアウトプットの進捗状況を全員で共有するのは限られた時間帯にしかできない。
(2)音声に加えてテキスト(チャットやオンラインドキュメント)でのコミュニケーションが増えるので、全員で共有することが容易になる。音声はライブでしか聞けないが、テキストなら時間差で確認することもできるし、一覧性に優れている。
⇔オフラインのワークショップでは、音声でのコミュニケーションが主体になる。
(3)リラックスした雰囲気が作りやすく、参加者同士の距離感も縮まる。自宅からの参加なので、参加者がリラックスしやすい。オンライン参加の背景画像が笑いのきっかけになったり、時には画面にお子さんやペットが登場したりして、場が和みやすい。
⇔オフラインだと場を和ませる環境づくりに、コスト(アイスブレイクの時間や会場費、お菓子・飲み物代)がかかる。
(4)自宅の個室で参加する人や単身者などは、個人ワークやディスカッションの時の集中力が上がる。
⇔オフラインだと周りの参加者に気遣いしたり、余計な刺激が入り集中力を欠いてしまう場合もある。
オンライン(在宅勤務)でワークショップを行う際の7つの留意点
(1) 参加者全員に、オンラインツールの事前テストを行ってもらうと、ツール使用に関する決定的なトラブルは発生しない
(2) オフラインでの個人ワークの際は、こまめにグループ内共有を行うことで、遅れるメンバーを出さないようにする
(3) オンラインで音声や映像が途切れたり、オンラインツールがうまく編集できなかったりした場合に、参加者がすぐに相談できるように、運営側でホットライン(電話やチャット)を用意しておく
(4) ワークショップの最中に参加者が今何をする時間か分からなくなってしまう場合があるので、常にいまのタスク(何時までに何をする)を確認できる場所(オンライン)を用意しておく
(5) お子さんがいる世帯では、昼食や夕食の用意が必要になるので、予め参加者の家族構成を確認し、オフラインよりも余裕を持った進行タイムスケジュールを作成する。オフラインよりも一層、時間厳守で進行する
(6) オフラインよりも開始時間に遅刻する人が増えるため、開始前に“集合する時間=オンラインにアクセスする時間”をタイムスケジュールに設定しておく
(7) 運営スタッフの連携をスムーズにするために、専用のチャットなどを設定し活用する
以上がオンライン(在宅勤務)で行うワークショップのメリットと留意点です。
新しいやり方を拒む“現状維持バイアス”に囚われず、冷静に判断する
行動経済学に“プロスペクト理論”という人間の認知の歪み(バイアス)に関する考え方があります。2002年にノーベル経済学賞を受賞したカーネマンらが作ったものです。これは「人間は損を得の倍くらい大きく評価する」という趣旨の理論です。変化を拒み、ついつい現状維持を求めてしまうのも、これまでのやり方を変えることで発生するデメリットを過大に評価してしまうために起こります。メリットとデメリットを合理的に認識できない、人間の性です。
この現状維持バイアスに囚われることなく、冷静にメリットを認識し、デメリットに対する対策を講じることが重要です。オンライン(在宅勤務)で行うワークショップの導入に関しても、そのような考え方をすべきだと思います。
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レクチャーとワークを交互に繰り返すことで理解を深める教育・研修プログラム
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デコムがストックしている情報(Trend banK)または個別の課題に沿ってオリジナルで調査した情報を活用し、デコムのフレームに沿って課題に対するインサイトとアイデアの発想を実践するプログラム
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