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コロナ禍で「アウトドアブーム」はどうなる?メガトレンドの背景に「n=1行動」の兆しあり!

メガトレンドから逆算して生活者の「n=1行動」を見つめる

コロナの感染者数がなかなか減らない中、外出や旅行の自粛ムードが長引いています。仕事面では在宅ワークが長期化したり出張を控えるといった変化が起きている方もいらっしゃると思います。余暇面では、旅行や帰省を見直す方もいらっしゃるようですが、みなさんは夏季休暇のご予定はお決まりでしょうか。このコラムを書いている筆者は、コロナ前には季節問わず毎週末キャンプに出掛けていましたが、今はそうもいかない状況です。そこで今回は、観光やレジャーの中でも、近年好調なアウトドア分野に注目していきたいと思います。

たった一人の人しかやっていないような「n=1がしている行動(新奇事象)」から、新しい潮流を読み解く手法は、デコムの基本的な考え方です。同じくらい大切にしているものの見方が、「新奇事象(n=1行動)」に関連する「マイクロトレンド(最近、巷で流行りの消費事象・企業動向)「メガトレンド(人口動態、社会動向など数値データが出ている事象)といった森の視点です。

デコムが運営しているメディア「Trend banK」に掲載されている、アウトドアやキャンプに関連する「メガトレンド」「マイクロトレンド」から逆算して、コロナ禍における「新奇事象(n=1行動)」を紐解いていくことで、ウィズアフターコロナ時代の新しいアウトドアの可能性について、考察してみたいと思います。

トレバンヘッダー

アウトドアのメガトレンドは?

Trend banK」の「遊び・エンタメ」カテゴリーの中に、「オートキャンプ参加人口は6年間で850万人に増加」したというメガトレンドが掲載されていました。こちらのメガトレンドに関連するマイクロトレンドをみていきましょう。

オートキャンプ

メガトレンドに関連するアウトドアのマイクロトレンドは?

ひとつめのアウトドアに関するマイクロトレンドは、「軒先でキャンプができるマンション」です。アウトドアメーカーのスノーピークと三井不動産が、キャンプフィールド付きのマンションを共同開発し、子育て世代に好評なようです。都会の自宅マンションにいながら、自室から続くベランダやマンションの共用スペースで、キャンプやBBQを楽しめる「半ソトの暮らし」が実現できるとのこと。
これまで多くの人は、都会から遠く離れた自然豊かな場所まで、大荷物を積んだ車を数時間運転して移動することで、キャンプという特別で非日常な体験を楽しんできました。トイレやお風呂が施設によっては少し不便で、通信設備によってはデジタルデトックスができるような環境です。「不便を楽しむ」ものだと、それらの不便を良しとしてきました。

しかしこのマンションは、自宅の快適さはそのままに、「外暮らしを便利に快適に楽しむ」という新しい価値を提供しています。扉を開けたらキャンプ場に行け、清潔ないつものトイレを利用できるという、まさに両方の暮らしのいいとこどり。実現したアイデアを見せられると「本当はこういうの欲しかったんだよね…」と思ってしまう、まさに隠れた欲求(インサイト)を突いたマイクロトレンドです。

スノーピーク

ふたつめのアウトドアに関連するマイクロトレンドは、「ワーキングスペースになるキャンプ場」というもの。千葉県にある牧場が、併設するオートキャンプ場をワーキングスペースとして開放し、パソコン仕事ができるような環境も整えているそうです。

これまでは、通勤をすることで頭を仕事モードに切り替え、仕事だけに集中できるオフィスで、リズムよく仕事をすることができていました。しかしコロナ禍に導入された急な在宅ワークでは、休憩をとるタイミングを見失い、終わりなくパソコンを見つめてしまったり、家族が乱入してきて仕事が中断されたりといった状況にストレスを感じられた方も多くいらっしゃることかと思います。

こちらのマイクロトレンドは、在宅ワークの「仕事モードとOFFモードとの切り替えができない」という不満を解消して、「開放的なワークスペースにより、仕事と暮らしの生産性をあげる」という価値を提供しています。戸外でソーシャルディスタンスを保ちながら複数人で仕事ができるプランもあるそうです。官房長官が発したことで「ワーケーション(ワーク+バケーション)」という言葉が話題になりましたが、オフィスや自宅、カフェのような居室内にとらわれない、新しいワークスペースの選択しとして、アウトドアオフィスが今後増えていくかもしれません。

オフィスまきば

メガ・マイクロトレンドに関連するn=1事象の兆しとは?

「オートキャンプが好調」というメガトレンドには、「インドアとアウトドアのいいとこどり」、「オンとオフの両方の生産性をあげる」といった価値を充たすようなマイクロトレンドが関連していました。ではそれらに関連するコロナ禍における新奇事象から、ウィズアフター期の新しいアウトドアの兆しをみていきましょう。

おひとりめは、「アウトドア用品で夫の即席書斎を作った」という47歳の女性です。在宅勤務になった夫が常に自宅いるストレスが軽減され、コロナ離婚を防止できたとのこと。大きな家具を買い足す前に、眠っていたアウトドア用品で補い、「エクストラ家具」という価値を見出していました。
自宅で過ごす時間が増えるウィズアフターコロナ時代のアウトドア用品には、「日常使いもできる」という価値がより求められるようになるでしょう。室内でも使いやすいようなインテリアになじむ落ち着いたカラーリングや、車や倉庫から家の中に運び込みやすい軽さ、床を傷つけない配慮、汚れたら洗える仕組みなどが、より求められることと思います。機動性・耐久性に自信があるアウトドア用品との相性は良さそうです。

ストレスフリーアウトドア

おふたりめは、「キャンプのテーブルと椅子で、家の前の外で仕事をする」という38歳の男性です。アウトドア用品を使い、ベランダやポーチなど自宅の敷地内の「ちょっとした外に身を置くことで、家族も自分も気分転換できる」というところに価値を感じていることがうかがえます。
少し前に、自宅のコンロでアウトドア用のホットサンドメーカーを使って作るメニューが話題になっていましたが、遠くまで出かけていかなくても、アウトドア用品を使って、手軽に開放的な気分になっていく人が増えていくでしょう。これからは近くのアウトドアを楽しむように、変化していくのではないでしょうか。

キャンプ気分

コロナをきっかけに自宅で仕事と暮らしを両立させる人が増えた中、アウトドア用品に「室内用のエクストラ家具」としての役割を見出し、「気分転換のスイッチ」にしている人がいました。

これまでのアウトドアは、自然の多いキャンプ場などに遠征して、リフレッシュや子どもへの教育という役割を果たしてきました。多くは大自然や不便を楽しむレジャーのことを指してきた「アウトドア」の概念が、「1歩外を楽しむ」という価値に、定義が変わってきたように感じます。ますます、おうち、オフィスといった「室内」と、ベランダやポーチのような「外」との境がなくなっていくでしょう。また「仕事」と「暮らし」の境目もあいまいになってきています。内と外をシームレスに楽しめるアイテムや体験が、ウィズアフターコロナ期においてはより求められていきそうです。

とはいえ、遠出をして大自然を楽しむ、従来型のアウトドアスタイルが失われるわけではないと思います。よりワイルドな、近いアウトドアではできない体験も、同時に求められていくことと思います。

アウトドアの事例でみてきましたが、メガトレンドは、マイクロトレンドの積み重ね、マイクロトレンドはn=1行動の積み重ねで、長い時間をかけて形成されていきます。ですのでメガトレンドのグラフや数値の背景にある、n=1の心理を読み解くことが、とても重要なのです。

「n=1行動」に関連するマイクロ・メガトレンドも閲覧できるメディア「Trend banK」

上記のような、n=1行動に関連するマイクロトレンド、メガトレンドをセットで、いつでもどこでも読めるのが「Trend banK」というメディアです。

デコムのインサイトアナリストが厳選したn=1新奇事象行動やマイクロトレンド・メガトレンドを、毎日読むことができます。生活者がお金を使う「生活14カテゴリ」に加え、コロナ禍の事象を集中して読めるような「コロナ」事象も掲載しております。

勤務先だけでなく、ご自宅や通勤中にも2週間の無料トライアルで、そのすべてをのぞき見することができます。是非この機会に、「Trend banK」をお試しください。

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