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無人島になにか一つだけ持っていけるとしたら何を持っていく?という質問はどうして生まれたのか

初めまして、デコムのプロジェクトデザイナー野口です。
突然ですが、皆さんも今までの人生で一度は、「無人島になにか一つだけ持っていけるとしたら何を持っていくか?」という話題で友人や知人と盛り上がった経験があるかと思います。

相場の答えとしては「ナイフ」「携帯電話」「最愛の人」といった答えらしいですが(出典)、今回は質問の答えではなく、なぜこの質問が生まれたのか?という点に着目してみましょう。

無人島=何もない場所、安全が確約されていない危険な場所と捉えることができるかと思います。あえて何もない過酷な状況にタレントを追い込み、どう行動するのかを観察する番組として一昔前では『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日)最近では『アイ・アム・冒険少年』(TBSテレビ)という人気番組があります。

こうした過酷な環境下を作り出しエンターテインメントとして楽しめるということは、つまりそれだけ私たちの生活が何不自由なく満たされていて安全が確約されている状態にあるということです。

人は自分とはかけ離れた存在や環境下、価値観に自然と惹かれるものです。

調べてみると『いきなり!黄金伝説。』の放送スタートは1998年。私たちは実はちょうどこの少し前、1980年代後半を境に、大きく時代観が変わったと思っております。世界の経済が低成長に入り、平成の夜が明けたころから私たちの生活は全てにおいて充たされている時代へと突入しました。

ニーズからインサイトへ

1980年代前半までは、例えば会社員の方が「夏暑すぎて仕事が手につきません」というような、それこそ生活がままならない大きな問題がゴロゴロ転がっていました。それに対して企業はクーラーを作れば必然的に売れ、利益を上げることができました。

しかし、現代では生活がままならなくなるほどのことはないし、インターネット等を活用してあらゆる商品・サービス・情報を即座に入手できます。こうした、生活が充たされた現代では人々の欲求が心の奥に隠れてしまっている時代だとも言えます。欲求が隠れているということは、消費者が何を欲しているのか企業側も分からないし、消費者本人も自覚できていない状態です。

そんな時代に重要なのがインサイトという考え方です。
インサイトとは「人を動かす隠れた心理」です。

物で充たされ過ぎた何不自由ない時代にはこういった消費者の隠れた欲求(インサイト)を汲み取った商品なりサービスを打ち出して、購買行動につなげていくことが必要不可欠なのです。