「Clubhouse」ってどうして人気なの??
最近、話題になっている新SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。アメリカからやってきたリアルタイム音声SNSで、日本では今年2021年1月後半から利用者が急増しました。現在は招待制でアカウントを作成できるシステムになっており、その時期の私のInstagramのストーリーズは「誰か招待してくれませんか??」という投稿で溢れていました。(笑)
さて、今回はそんな流行りの「Clubhouse」が、どんな価値を感じられて使用されているのか、またTwitterやInstagramなど他のSNSは、「Clubhouse」の価値と比較した際に、どんな未充足があるのか、デコムなりに分析してみました。
そもそも「Clubhouse」って何なの??
「Clubhouse」は、2020年4月にアメリカ西海岸のAlpha Exploration Co.という会社がサービスを開始した音声SNSで、2021年1月23日に日本にβ版が上陸しました。元々は、オンラインサロンなどの用途で意識高い系のインフルエンサーが使用していましたが、今では、ビジネスはもちろん、政治やスポーツ、芸能、音楽やファッションをはじめとする芸術やカルチャーなど、ありとあらゆるジャンルの情報発信・交換や雑談が行われています。
「Clubhouse」の中では、「room」と呼ばれる部屋が作られており(以下、ルーム)、音声だけの会話が流れます。
ルームの中では、ルーム自体の立ち上げ・司会進行など、メインでルーム内を仕切るモデレーターや、招待されたスピーカーなどが話をしています。また、聞き手として参加するオーディエンスは、生放送のラジオのようにルーム内の会話を聞くことができます。オーディエンスは、モデレーターにスピーカーの権限をもらうことでスピーカーになることもでき、これにより質疑応答などが可能になります。
こうして多岐にわたるジャンルをテーマにした様々なルームの中で、モデレーター・スピーカーが情報や意見を発信・交換し、オーディエンスがそのトークを聞いたり、疑問に思うことがあれば直接質問したりして、ということが行われているのが「Clubhouse」です。
「Clubhouse」に感じられている価値とは??
ここまで、ざっくりと「Clubhouse」の説明をしてきました。ここからは、なぜ「Clubhouse」がここまで多くの人に利用されているのか?について、お話ししていこうと思います。
「Clubhouse」の一番大きな価値をデコムのインサイト分析における4観点(シーン(場面)/ドライバー(源泉)/エモーション(価値)/バックグラウンド(背景要因))で整理すると、「音声だけの気軽なリアルタイムな対談体験・リスナー体験を通して、同じ興味関心を持った人とのポジティブなつながりが芽生えることで、人知れず抱えていた小さな孤独感が解消される」ということが価値として感じられているのではないかと考えられます。
というのは、以下の「Clubhouse」の3つの大きな特徴が関係していると思われます。
①アーカイブを残せない、ルーム内で話されたことは他言無用、録音・配信禁止などのルールにより、“今ここでしか”聞くことのできないトーク音声が聞ける・参加できるという点
②ルームの入室・退室のハードルが非常に低く、ふらっと立ち寄り、聞き、抜けることができる気軽・気楽な点
③モデレーターやスピーカーが、質疑応答などでオーディエンスとのインタラクティブなやりとりを歓迎しており、即時的な双方向のコミュニケーションがとれる点
ルームのテーマに基づいて、“今ここでしか”聞けない生の人の声(①)を気軽に聞いたり(②)、トピックに対して直接質問したりすることができる(③)。それによって、同じテーマのもとに集った、つまり同じ興味関心、あるいは悩みごとなどを抱えている参加者たちが、モデレーターやスピーカー、オーディエンスと直接コミュニケーションをとれるため(③)、新たなつながりを生み、発展させていくことができる場所と感じられているのではないでしょうか。
また、その価値が感じられる背景は大きく二つ挙げられます。一つは、やはりコロナ禍やそれによる緊急事態宣言下で、“生”の人とのふれあいやつながりが減少し、閉塞した気持ちを抱えている人が多いことでしょう。
もう一つは、趣味など自分が追求したい好きなことや、あるいは自分だけのちっちゃな悩みごとなど、そういう「わざわざ人に時間を割いて聞いてもらうほどでもないこと」をみんなどこかに抱えて、孤独感をやり過ごしていることではないかと考えます。「Clubhouse」は、そういった同じ興味関心・悩みを、それぞれに持つ他者と出会い、共感し、つながる場所になっているのではないでしょうか。
他のSNSの未充足ポイントは??
最後に、「Clubhouse」の価値からみた、他のSNSの未充足に感じられているポイントについてお話しします。
先ほど、「Clubhouse」の価値は、「音声だけの気軽なリアルタイムな対談体験・リスナー体験を通して、同じ興味関心を持った人とのポジティブなつながりが芽生えることで、人知れず抱えていた小さな孤独感が解消される」ことだとお話ししました。
それに対して、TwitterやInstagramなどに代表されるSNSは、“今ここでしか”というようなリアルさには乏しく、投稿された文章や画像、また、SNS上での人とのコミュニケーションも希薄に感じられやすいことではないかと思われます。
TwitterもInstagramも基本的には文字や写真・映像で過去の出来事を投稿するSNSであり、ライブとして配信していた映像も、過去としてアーカイブに残すことができます。生でなくても見られるし、見返すこともできるものです。また、Instagramに投稿される画像は、加工してあるのが当たり前であったり、投稿内容をあとから編集したりすることもできるため、後に残らない・修正も出来ない無加工の人間のトーク音声の生々しさからすると、圧倒的にリアルさに乏しいものに感じられるのでないでしょうか。
コロナ禍の閉塞感や、生活の中でやり過ごしている小さな孤独感を背景に持つ人々の目には、そういったSNSは、もやもやとした鬱屈感・孤独感を取り払ってはくれず、薄っぺらいものに映るのではないかと思われます。
ここまで、今話題の「Clubhouse」の価値とその他のSNSの不満・未充足についてお話してきました。「Clubhouse」は、同じ志を持った人と人をリアルタイムでつなぐことで、人々が未来を共創していく可能性を秘めたSNSになっていくのではないでしょうか。