調査対象者の日常的な行動を観察し、深い洞察を得るための手法として行動観察調査があります。アンケートや聞き取り調査では捉えきれない、実際の行動パターンや潜在的なニーズを発見できる点が特徴です。本記事では、行動観察調査の必要性やメリット・デメリットに加え、成功のためのポイントについて解説します。
行動観察調査とは
行動観察調査とは、調査対象者が自宅での生活や店舗での買い物など、日常的な行動を観察する手法です。また、聞き取り調査を行いながらも一定の距離を保ち、自然な行動を記録することがポイントです。街中で歩行者の行動を観察するような、普段の生活に密着した行為も含まれます。
行動観察調査の必要性
行動観察調査の目的は、商品やサービスに関する問題点を発見することだけでなく、ターゲットユーザーの行動パターンや行動原理を深く理解することも重要です。
なぜならばアンケート調査では、建前で回答を行う場合も多くあるからです。たとえば「使いたい」と答えているにも関わらず、その商品やサービスが実際には使われていないケースも少なくありません。
さらに、行動観察調査では、意外な顧客ニーズを発見する可能性もあります。従来の想定を超えた新たな洞察を得られることが起こりえるので、実際の行動を注意深く観察する必要性があるのです。
行動観察調査のメリット
行動観察調査の最大のメリットは、想定外の発見に出会えることだといえます。商品を使用している様子を直接観察することで、ユーザーのリアルな行動や感想を把握することができ、それが想定外の発見に繋がります。
また、使用現場でのインタビューは、アンケート調査や街頭インタビューよりも深い洞察が得られることも多いのもメリットです。
さらに、インタビュアーが使用者と同じ空間にいることで、共感が生まれやすいという利点もあり、それが想定外の発見に出会える確率を高めることになるからです。
行動観察調査のデメリット
行動観察調査にはデメリットもあります。観察で得られる情報はあくまで事実情報であるように、その背景や原因はインタビュアーの解釈に依存する点が大きいことがデメリットです。
なぜならば同じ行動を観察しても、インタビュアーの主観や力量によって分析結果が異なってしまう可能性があるからです。
結果がインタビュアーのスキルに大きく左右される、これが行動観察調査の最大のデメリットです。
行動観察調査を成功させるための3つのポイント
行動観察調査のメリットを生かしてデメリットを抑え込むよう、より効果的に行うためには以下のポイントを意識して調査を行いましょう。
1.先入観や固定観念を捨てる
観察で得られる情報は、あくまで行動の一部です。その背景や原因を解釈する際には、自身の先入観や固定観念を排除することが必要です。これらが影響すると、偏った結論を導いてしまう可能性があり、それを排除することで情報をフラットに捉えることができるでしょう。
2.仮説を立てて観察する
調査前に仮説を立てることで、観察の焦点を明確にし、効率よく調査を進めることができます。仮説を立てずに観察を進めると観察するべきポイントが定まっていないため、調査結果が曖昧になりがちです。仮説を立てるという準備をしっかり行った上で、観察を心がけましょう。
3.行動の目的と結果を意識する
すべての行動には、目的、行動、結果の3要素があります。観察を通じて得られる要素は行動そのものですが、なぜその行動を取ったのか、その結果どうなったのか、そもそも目的は何だったのかを考えることが重要であり、それがより深い洞察を得ることに繋がります。
まとめ
行動観察調査は、インタビュアーのスキルによって結果が左右されてしまう難しさもありますが、先入観や固定概念を捨て仮説設定を行い、行動の目的と結果を意識することで、他の調査手法では得られない洞察を得ることができ、それが有益な結果を得ることに繋がる素晴らしい手法だといえます。本記事を参考にして、効果的な調査を行っていただけると幸いです。
デコムではインサイト分析の先駆者として、n=1となる顧客から得られるそのままの情報から顧客が心の中に抱く隠れたニーズを紐解くためのインサイトセミナーを実施しています。
是非、この機会にご参加ください。