インサイトマップとは?顧客の未充足欲求を捉えてマーケティング戦略を革新する方法 | 株式会社デコム
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インサイトマップとは?顧客の未充足欲求を捉えてマーケティング戦略を革新する方法

はじめに:なぜ「未充足の欲求」を理解する必要があるのか?

現代のマーケティングでは、「顧客理解」はもはや常識ですが、その多くが表面的なニーズ把握にとどまっています。顧客の本質的な欲求、特に“まだ満たされていない未充足欲求”までを捉えることが、これからの市場創出やブランド成長には不可欠です。

そこで注目されているのが、株式会社デコムが提唱する「インサイトマップ」です。これは顧客の“充足”と“未充足”の欲求を網羅的に整理し、商品開発やコミュニケーション施策に変換するための実践的なフレームワークです。

インサイトマップ

【Why】なぜ充足・未充足欲求を理解する必要があるのか?

顧客は各商品カテゴリーに対して、すでに満たされている「充足欲求」と、まだ満たされていない「未充足欲求」の両面を持っています。

  • ・充足欲求:現状、商品やブランドが提供している価値
  • ・未充足欲求:顧客が潜在的に求めているが、満たされていない価値

この両軸を把握することで、既存ブランドの強化だけでなく、新規ブランドの機会も発見できるようになります。

【What】充足・未充足欲求とは何か?どのように分類されるのか

デコムでは、以下のようにマーケティング施策の方向性を分類しています。

 
顧客の欲求 既存ブランドで対応 新ブランドで対応
充足欲求 広告・販促施策で強化 価値の再定義とリニューアル
未充足欲求 既存ブランドの刷新 新ブランド開発

たとえば、映画館での「ポップ&コーク」プロモーションは、すでに充足されている“親密になりたい”という欲求に対し、販促施策で価値を最大化した事例です。

一方で、マクドナルドの「メガマック」は、“ヘルシーを心がけている人でも時にはガッツリ食べたい”という未充足の欲求に対して新商品で応えた成功例です。

【How】どうやってインサイトを捉えるのか?──アート&サイエンスのアプローチ

インサイトを捉えるには、以下のようなアート&サイエンスの2段階アプローチを行います。

ステップ1:N=1の定性調査から仮説を導出(アート)

  • ・一人の具体的な事実(N=1)に向き合い、複数のインサイト仮説を収集
  • ・インサイト仮説には「価値」「不満」「背景」「価値観」「ソースオブビジネス(SOB)」「競合優位性」などを含める
  • ・仮説はインサイトマップ(二軸四象限)にプロットし、構造的に可視化

ステップ2:定量調査で有望な仮説をスクリーニング(サイエンス)

  • 1000人規模のオンライン定性調査により、大量のN=1データを取得
  • ・仮説ごとに以下のような指標で評価:
    •   ◦キーインサイト共感度
    •   ◦バリュープロポジション魅力度
    •   ◦新規性
    •   ◦カテゴリー未充足度

この2段階の手法により、定性×定量のハイブリッドでマーケティング戦略を支えるインサイトが抽出できます。

インサイトマップの構造と活用法

インサイトマップでは、二軸四象限のマトリクス上に8つのインサイト仮説を整理します。

  • ・縦軸・横軸には価値や欲求の方向性を設定
  • ・各象限には以下の項目を記載:
    •   ◦欲求の記述とキーワード
    •   ◦具体的なn=1の事象
    •   ◦不満・価値の源泉
    •   ◦生活背景やトレンド
    •   ◦ソースオブビジネス(SOB)
    •   ◦競合優位性

これにより、「どの象限のインサイトを、どの施策で狙うべきか」が一目で判断可能になります。

まとめ:インサイトマップでマーケティングに革新を

インサイトマップは、顧客の充足/未充足欲求を可視化し、戦略に直結する画期的なフレームワークです。「表面的なニーズ把握」から一歩踏み込み、顧客の深層心理に迫るマーケティングを実現します。

これにより、

  • ・既存ブランドの価値再強化
  • ・未開拓市場に向けたブランド開発
  • ・広告・販促施策の精緻化
  • ・顧客接点全体の再設計

といった打ち手に、一貫した戦略軸を持たせることが可能となるのです。

 

 

お問い合わせ・ご相談はこちら

インサイトマップを自社の課題解決に活かしたい方、顧客の未充足欲求をもとに新たなマーケティング戦略を設計したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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参考:用語定義

  • ・インサイトマップ:【定義】顧客の充足・未充足欲求を「2軸4象限」に整理した可視化フレームワーク。マーケティング施策や商品開発に活用される。
  • ・未充足欲求:【定義】現在の市場・商品では満たされておらず、顧客が潜在的に抱いている深層的な願望や期待。
  • ・N=1調査:【定義】一人の具体的な事例を深掘りして分析する定性調査手法。仮説構築やインサイト発見に活用される。
  • ・ソースオブビジネス(SOB):【定義】ビジネス機会の源泉。生活課題や価値観から導き出される、新商品・新施策の着想ポイント。
  • ・インサイトドリブン戦略:【定義】顧客の深層心理や未充足欲求を起点に設計される、マーケティングおよび事業戦略のこと。

参考:よくあるご質問(FAQ)

Q1. インサイトマップはどのような業界に適用できますか?
A1. 食品、飲料、美容、日用品、医療・ヘルスケア、エンタメなど、あらゆるBtoC業界に対応可能です。特に、競争が激化するカテゴリーほど未充足欲求の探索が効果を発揮します。

Q2. インサイトマップを導入するには何から始めればいいですか?
A2. まずは小規模なn=1インタビュー調査から仮説を立て、インサイトマップにプロットすることで具体的な示唆が得られます。デコムではその伴走支援も行っています。

Q3. 定性データを定量的に検証するには?
A3. インサイト仮説ごとに設計した質問項目をオンラインで定量的に評価します。スコアリング指標を用いて「共感度」や「魅力度」などを可視化します。

Q4. マーケティング部門以外でも活用できますか?
A4. はい。商品開発・営業企画・経営企画など、顧客起点の戦略立案が必要なすべての部門で活用されています。

Q5. 社内に専門知識がなくても活用できますか?
A5. デコムでは初期設計からワークショップ実施、分析支援まで一貫してサポートしています。初めての企業様でも安心して導入可能です。

会社紹介:株式会社デコムについて

沿革

  • ・2001年:株式会社デコム設立
  • ・2005年:「インサイトリサーチ」に特化した定性調査事業を本格展開
  • ・2022年以降:生成AIを活用したリサーチ自動化とインサイトマップ手法の体系化を推進

事業概要

株式会社デコムは「人間の本質的な欲求に迫るマーケティングリサーチ」を強みに、以下の事業を展開しています。

  • ・インサイトリサーチ支援(定性×定量ハイブリッド調査)
  • ・新商品/ブランド開発支援
  • ・戦略設計・コンセプト立案支援
  • ・生成AIによる調査設計・分析支援
  • ・マーケティング研修・ワークショップ運営

BtoC企業を中心に、食品・化粧品・日用品・教育・ヘルスケアなど幅広い業界の大手企業に対して、深層理解に基づいたマーケティング支援を行っています。

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