ブランドリフトとは?広告効果を“認知・感情・行動”で測る実践ガイド | 株式会社デコム
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ブランドリフトとは?広告効果を“認知・感情・行動”で測る実践ガイド

ブランド広告の効果を可視化する手法として、近年「ブランドリフト(Brand Lift)」が注目されています。これは、広告接触によって消費者のブランドに対する意識や態度がどれだけ変化したかを測定するもので、デジタル広告のROI(Return On Investment:投資利益率を判断するうえで不可欠な指標となりつつあります。本記事では、ブランドリフトの基本的な定義から、測定される指標、調査の方法、活用シーン、成功のポイントまでを丁寧に解説します。マーケティング施策の効果をより深く理解したい方、広告のインパクトを可視化したい方におすすめの内容です。

ブランドリフト

ブランドリフトとは?

定義と意味

ブランドリフトとは、広告やマーケティング施策が消費者の認知や意識にどれだけ影響を与えたかを測定するための指標です。具体的には「広告を見たことがあるか」「ブランドを知っているか」「そのブランドに対してどのような印象を持っているか」「購入意向が高まったか」など、ブランドに対する態度の変化を可視化します。

なぜ今ブランドリフトが重要視されているのか

デジタル広告の進化によって、クリック率やコンバージョン率といった短期的な数値は容易に測定できるようになりました。しかし、これらの指標だけではブランドへの長期的な影響を評価することはできません。ブランドリフトは、施策が中長期的なブランド価値にどう貢献しているかを可視化するための手法として、近年ますます注目を集めています

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ブランドリフトで測定される主な指標

ブランドリフトにおいては広告想起、ブランド認知・高感度、購入意欲・利用意向の3つの指標が重要になります。ここではそれぞれの指標について細かく解説します。

広告想起

ユーザーが広告を見たことをどれだけ記憶しているかを測定します。例えば「この広告を見たことがありますか?」という問いで、広告の印象度や到達度を把握します

ブランド認知・好意度

ブランドの名前を知っているか(認知)、ブランドに対してどのような感情を抱いているか(好意度)を測定します。特に競合との差別化において、好意度は重要な指標となります

購入意向・利用意向

実際にそのブランドの商品やサービスを「買いたい」「使ってみたい」と思うかどうかを調べます。最終的な行動に直結するため、マーケティングROIの評価にも使われます

ブランドリフトを活用すべき場面

ブラドリフトは様々な場面で活躍しますが、ここでは特に活用すべき3点の場面に絞って詳しく紹介します。

新商品のローンチ・広告キャンペーンの効果測定

新しいブランドやプロダクトを市場に投入する際に、認知獲得や関心喚起ができているかを確認するのに適しています。

例:ある飲料メーカーが新しい機能性ドリンクを発売するにあたり、InstagramとYouTubeで動画広告を展開。広告に接触した層と非接触の層で「商品名を知っているか」「飲んでみたいと思うか」といった質問を比較し、認知度や利用意向の変化を分析することで、広告素材ごとの影響度を可視化しました。

既存ブランドの再認知・好意度向上施策の評価

すでに認知されているブランドが、イメージ刷新やポジショニング再構築を図る際の施策効果を測定するのに活用されます。

例:老舗の化粧品ブランドが、Z世代へのアプローチを強化するため、ブランドの若返りを図った新CMを配信。CMに接触した若年層を対象に「このブランドに親しみを感じるか」「イメージが変わったか」を調査したところ、従来の層との好意度のギャップが明確になり、今後のターゲティングに活かされました。

ターゲティング精度の検証

特定のターゲット層に対して実施した広告が、本当に意図通りに効果を発揮しているかを検証できます。パーソナライズド広告やセグメント配信の評価にも有効です。

例:ある旅行会社が「30代女性・海外旅行好き」をターゲットにFacebook広告を配信。キャンペーン後、想定ターゲット層のブランド認知や検討意向のスコアを非接触層と比較した結果、実は「40代の国内旅行志向」の層の方が反応が高かったことが判明し、訴求内容とターゲット設定の見直しに繋がりました。

ブランドリフト調査の方法

ここでは実際にブランドリフトを行うにあたっての調査方法について説明します。

調査設計と対象者の分け方(接触群・非接触群)

ブランドリフト調査は、広告に接触したグループ(接触群)と、接触していないグループ(非接触群)に分け、それぞれに同じ質問を行い、態度や意識の差異を比較します。

質問項目と設計例

例として以下のような質問が使われます:

  • ・この広告を見たことがありますか?(広告想起)
  • ・このブランドを知っていますか?(ブランド認知)
  • ・このブランドにどのような印象を持ちましたか?(好意度)
  • ・このブランドの商品を使ってみたいと思いますか?(購入意向)

オンライン調査と広告連携の仕組み

GoogleやMeta、楽天などが提供する広告プラットフォームでは、広告配信と連携して自動的にリフト調査を行える仕組みが整備されています。広告接触の有無はユーザーのIDベースで調査結果と突き合わせることで把握することが出来ます。

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ブランドリフト測定を成功させるポイント

ここではブランドリフトを成功させるための具体的なポイントについて紹介します。

十分なサンプル数と明確なKPIの設定

信頼性のある結果を得るためには、一定以上のサンプル数が必要です。また、事前に広告想起率◯%、認知率◯%向上といったKPIを設定することで、評価軸が明確になります。

定点観測と施策との因果関係の整理

単発の調査だけでなく、キャンペーンごと・月次など定期的に測定を行うことで、トレンドの変化や施策との因果関係を捉えることができます

定性調査と組み合わせた深掘り分析

数字だけでは見えにくい意識の変化や背景を理解するには、定量調査に加えてインタビューなどの定性調査を行うのが効果的です

まとめ

ブランドリフトを活用したマーケティング高度化の可能性

ブランドリフトは、広告施策の本質的な価値を測る指標として、今後ますます重要性を増していきます。クリックやCVだけでは測れない「人の心の動き」を可視化することで、より本質的なブランドマネジメントが可能になります。

今後の展望とテクノロジー連携の進化

AIやデータ連携技術の進化により、ブランドリフト測定はさらにリアルタイム性・精度を高めていくと予想されます。定量×定性、オフライン×オンラインを融合させた統合的なブランディング戦略が、今後のマーケティングの鍵となるでしょう。

 

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