市場の変化が激しい現代において、どの顧客にアプローチすべきかを見極めることは、営業効率やマーケティング成果を大きく左右します。無差別に広告を打ったり、営業リストを作って片っ端からアプローチする時代は終わり、いかに「狙うべきターゲット」を絞り込むかが成功のカギとなっています。
その基盤となるのが「デモグラフィック」です。個人向けビジネス(BtoC)でも法人向けビジネス(BtoB)でも、顧客の基本的な属性を理解することで、効率的かつ成果につながる施策が可能になります。
デモグラフィックとは?
デモグラフィック(Demographic)とは、人口統計学的なデータのことを指します。年齢、性別、職業、学歴、家族構成、収入、居住地など、数値やカテゴリーで分類できる顧客の属性情報です。BtoCでは個人単位、BtoBでは企業単位(業種、従業員数、売上規模、所在地など)の属性が活用されます。マーケティングにおいて顧客像を把握する基礎データとして欠かせません。
なぜ「デモグラフィック」が重要なのか
マーケティングや営業活動の効率は「どの顧客にリソースを投下するか」で大きく変わります。デモグラフィックデータを活用すれば、市場規模の把握や見込み顧客の抽出が容易になり、無駄なアプローチを減らすことも可能です。
例えば「30代女性・都市部・年収500万円以上」や「製造業・従業員300名以上」といった条件でターゲットを具体的に定めることで、成約率を高められます。
サイコグラフィックとの違い
サイコグラフィックとは?
サイコグラフィック(Psychographic)は、顧客の心理的・価値観的な側面を示すデータです。趣味や関心、ライフスタイル、購買動機、意思決定のスタイルなど、数値化しにくい心の動きを捉えるのが特徴です。
デモグラフィックとサイコグラフィックとの違い
デモグラフィックとサイコグラフィックとの違いは以下の通りです。
- ・デモグラフィック:年齢、性別、職業、収入、企業規模など「外的な属性」
- ・サイコグラフィック:価値観、ライフスタイル、志向性など「内面的な要素」
両者は補完関係にあり、デモグラフィックで「誰に売るか」を絞り込み、サイコグラフィックで「どう売るか」を設計するのが効果的です。
デモグラフィックデータの収集方法
デモグラフィックデータの収集方法、および種類は以下の通りです。
公的統計データ
国勢調査や総務省統計局のデータ、業界団体の統計資料などは無料で利用可能。市場規模や人口構造を把握するのに役立ちます。
アンケート調査
オンライン調査や対面アンケートで、顧客の基本属性を直接収集できます。特定の市場や顧客層を詳細に把握したい場合に有効です。
自社顧客データ
会員登録情報や購買履歴、問い合わせ履歴などから、既存顧客の属性を抽出できます。自社にとっての「理想的な顧客像」を作る基盤になります。
オーディエンス分析機能
Google広告やSNS広告の管理画面では、ユーザーの年齢層や地域、興味関心データを確認可能。広告配信のターゲティング精度を上げることができます。
マーケティング戦略への活用方法
デモグラフィックデータを収集した後は、マーケティング戦略に活用します。主な戦略は以下の通りです。
ターゲットセグメンテーション
年齢層、地域、業種などの条件で市場を細分化し、重点ターゲットを明確化します。
製品・サービス開発
属性ごとのニーズを反映した商品企画が可能になります。
例:高齢者層向けの小型・軽量製品。
広告配信の最適化
広告プラットフォームで属性を指定し、無駄のない配信ができます。
例:特定業種のBtoB企業だけに展示会案内を配信。
販売チャネル戦略
地域属性を基に、オンライン販売に注力するか、代理店展開を強化するかといった方針を決定できます。
デモグラフィック活用事例
デモグラフィックを活用することで売上や成約率が上がった例をピックアップします。
アパレルブランド(BtoC)
あるアパレルブランドでは、購入者データを性別・年齢別に分析した結果、特に20代女性の比率が高いことがわかりました。そこで商品ラインナップを20代女性向けに強化し、トレンドに敏感な層に響くデザインを拡充。さらに広告チャネルもInstagramやTikTokを中心に切り替えることで、ブランド認知を高めつつ購買意欲を刺激し、売上増加に直結しました。
→ ポイント:年齢・性別などの基本データを活用することで、商品開発とプロモーションの精度が大幅に上がる。
食品メーカー(BtoC)
食品メーカーは地域ごとの消費傾向を調査。関西エリアでは「濃い味付け」が好まれる傾向が強いことをデモグラフィック調査から把握しました。その結果、関西限定で味付けを調整した商品を投入し、地元メディアやスーパーの販促と連動させることで大きな話題に。限定性と地域特性をかけ合わせたことで、販売初月から予測を上回る市場浸透率を達成しました。
→ ポイント:地域ごとのデモグラフィックを理解することで、ローカル戦略が有効に機能する。
BtoBサービス
人材サービス企業では、ターゲットを「従業員数100~300名の成長中IT企業」とデモグラフィックで絞り込みました。これにより営業リストを従来よりも精緻に作成でき、無駄なアプローチを削減。営業担当者のリソースを集中させることで、成約率が20%改善しました。さらに、業種や企業規模ごとのデータを定期的に見直すことで、営業効率と成果を継続的に高めています。
→ ポイント:BtoBでは「企業規模」「業種」などがデモグラフィックの主な軸となり、効率的な営業活動に直結する。
成功のポイントと注意点
最後に成功のポイントと注意点を挙げます。以下に気を付けてデモグラフィックを活用してください。
- ・デモグラフィックだけに依存せず、サイコグラフィックと組み合わせる
- ・データは常に最新のものを活用する
- ・属性によるステレオタイプに偏らず、柔軟に解釈する
まとめ
デモグラフィックは、顧客や企業の基本的な属性を把握し、効率的なターゲティングを行うための強力な手段です。サイコグラフィックと併せて活用することで、誰に・どのようにアプローチすべきかが明確になります。公的統計や自社データを活用しながら、戦略的に施策へ落とし込むことが、営業効率の最大化につながります。
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