サイコグラフィック分析とは?顧客の“心”を読み解くマーケティング活用ガイド | 株式会社デコム
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サイコグラフィック分析とは?
顧客の“心”を読み解くマーケティング活用ガイド

Psychographic segmentation

現代のマーケティングでは、年齢や性別といった「デモグラフィック」な属性だけでは、顧客の行動や価値観を十分に捉えることができません。そこで注目されているのが「サイコグラフィック」です。これは、消費者のライフスタイル、趣味、価値観、性格傾向など、より深層的な心理や行動に焦点を当てた分析手法です。本記事では、サイコグラフィックの基本的な定義から、デモグラフィックとの違い、活用方法、データの取得・分析のポイントまでをわかりやすく解説します。

サイコグラフィックとは?

サイコグラフィック(Psychographic)とは、消費者のライフスタイルや価値観、趣味・関心、性格傾向など心理的・行動的側面に着目して分類・分析するマーケティング手法です。年齢や性別、年収といったデモグラフィック(人口統計など)の情報では捉えきれない、より深い「人となり」を把握できるため、近年注目度が高まっています。

デモグラフィックとの違い

デモグラフィックは「誰」であるか(年齢、性別、職業など)を示し、サイコグラフィックは「なぜそう行動するのか」という理由や動機を理解するための手法です。たとえば、30代男性というデモグラフィック属性が同じであっても、価値観や趣味が異なれば、商品やサービスへの関心度もまったく変わってきます。このように両者を組み合わせて分析することで、より的確なターゲティングが可能になります。

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サイコグラフィック分析で扱う主な項目

サイコグラフィック分析を行う上で扱う項目には以下のようなものがあります。

ライフスタイル・価値観

普段の過ごし方、家族との時間の使い方、仕事に対する姿勢、人生において大切にしていることなどが含まれます。例えば「安定よりも挑戦を重視する」「エコやサステナブルを重視」などが挙げられます。

趣味・関心・性格傾向

旅行、スポーツ、音楽、アニメ、アウトドアなど、個人が何に興味を持っているかや、外交的/内向的といった性格傾向、または冒険型/慎重型といった購買スタイルも重要な分析軸になります。

行動パターン・購買動機

商品を購入するタイミング(給料日後、セール時など)や、影響を受ける情報源(インフルエンサー、友人の口コミなど)といった、実際の行動や心理的なきっかけに注目します。

参考記事:行動観察調査とは:ユーザーの本音を引き出す効果的な手法

サイコグラフィック分析の活用シーン

サイコグラフィック分析を行うことで、たとえば、以下のような場面で活用することができます。

商品・サービス開発への応用

特定の価値観や生活スタイルを持つ人々に向けて、商品やサービスの機能やデザインを調整することで、ニーズにフィットした開発が可能になります。例としては、「エシカル志向の若年層向けコスメ」や「ソロ時間を重視する社会人向けガジェット」などがあります。

ペルソナ設計やターゲティング精度の向上

ペルソナの構築において、表層的な情報にとどまらず、内面の価値観や行動傾向を反映させることで、よりリアルで説得力のあるモデルが作成できます。その結果、広告メッセージの訴求力も向上します。

エリアマーケティングとの組み合わせ

地域によって異なる生活様式や文化背景を把握し、サイコグラフィックを加味した地域密着型プロモーションや販促が可能になります。たとえば、都市部では「利便性重視」、地方では「安心感重視」などの違いが見られることがあります。

サイコグラフィックデータの取得方法

サイコグラフィック分析を行うためのデータ取得方法には、以下のような方法があります。

アンケート・インタビュー

価値観や関心に関する設問を取り入れたアンケートや、深層心理を探るための1対1のインタビューが代表的な方法です。自由記述やエピソードベースの質問を活用することで、より豊かな情報を収集できます。

SNS・Web行動ログ

ユーザーの投稿内容やいいね履歴、閲覧ページなどのデジタル行動を通じて、興味関心や価値観を推測することが可能です。AIを活用した自然言語処理やパターン分析も有効です。

外部データベースの活用

調査会社やマーケティング支援企業が保有するデータベースを活用し、自社の顧客属性と照らし合わせて分析する方法もあります。

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分析時のポイントと注意点

このように万能に感じるサイコグラフィックではありますが、分析時には以下のようなポイント、及び注意を行わなければなりません。

データの質と量をどう確保するか

十分なサンプル数を確保し、信頼性の高いデータソースから収集することが重要です。不正確な情報や偏った母集団では、誤った分析結果につながる恐れがあるからです。

主観的なバイアスにどう対応するか

自己申告データには主観的なバイアスが入りやすいため、質問設計時に誘導を避け、複数の視点から検証する仕組みが求められます。

デモグラフィックと組み合わせた多角的分析の重要性

単独のサイコグラフィック分析だけでなく、デモグラフィックと組み合わせて「誰が」「なぜ」そのような行動をとるのかを多面的に把握することが、マーケティング戦略の精度を高める鍵となります。

まとめ

サイコグラフィックの可能性と今後の活用展望

サイコグラフィックは、顧客の心を深く理解するための鍵となる分析手法です。 顧客の意思決定の背景にある「なぜ」を解き明かすことができるため、成熟市場や多様化社会において競争優位性を築くためには欠かせません。

今後は、AIや機械学習の活用によって従来よりも精度の高い心理分析が可能となるため、サイコグラフィックは、もはや一部の先進企業だけのものではなく、広く実務に取り入れるべき「新しい常識」へと変わりつつあると言っても過言ではないのです。

皆様には是非ともサイコグラフィック分析にて、消費者のライフスタイルの把握はもちろん、より深層的な心理や行動に焦点を当てると共に、業務に活用していたただけると幸いです。

 

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