インサイトリサーチの最前線:邪な欲望を捉えて市場機会を発見するデコムの手法とは? | 株式会社デコム
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インサイトリサーチの最前線:邪な欲望を捉えて市場機会を発見するデコムの手法とは?

マーケティングの現場では「顧客理解」が叫ばれて久しいものの、表面的なニーズ把握にとどまるケースが多くあります。株式会社デコムは、n=1リサーチを軸に、人間の「邪な欲望」に着目する独自のアプローチで深いインサイト発見を実現しています。

本記事では、株式会社デコムが開催したランチタイムセミナー「綺麗事ではない人間のダークな側面を捉えたターゲットとは」をもとに、その手法や事例を詳しく解説します。

インサイトリサーチ

インサイト発見に欠かせない「邪な欲望」とは?

マーケティング調査では、顧客はしばしば「本音ではあるが表層的な欲望」を語ります。しかし、その背後には善(エンジェル)と悪(デビル)の葛藤が存在しています。デコムはこの「邪な欲望」を可視化することで、企業が気づきにくい市場機会を発見しています。

マクドナルドの失敗とV字回復事例

マクドナルドは一時期業績が低迷し、顧客調査を実施しました。多くの回答者は「ヘルシーじゃないから行かなくなった」「サラダがあれば行くかもしれない」と答えました。その声を受けて投入されたサラダマックは、売上不振で早々に終売となりました

しかし、消費者には「たまには分厚いハンバーガーをがぶっと食べたい」という防食欲求(邪な欲望)が存在していたのですこれを捉えたクォーターパウンダー投入によって、マクドナルドはV字回復を遂げました

介護用品アテントの競合突破事例

P&Gの大人用おむつ「アテント」は、競合ユニ・チャームがパンツ型を投入し優位に立っていましたが、P&Gは介護者の邪な欲望に着目しました。介護する側の「逃げ出したい」「自分の時間を持ちたい」という葛藤に対し、「頑張らない介護生活始めませんか」というメッセージを打ち出し、独自の市場ポジションを確立しました。

「欲望マンダラ」で整理するエンジェルとデビル

デコムは、長年のインサイトリサーチの知見から欲望マンダラを開発しました。これは、内側にエンジェルな欲望(善)、外側にデビルな欲望(邪)を配置し、それぞれを対に整理しています。

代表的な項目は以下の通りです:

  • 達成・意欲(エンジェル) ⇔ 嫉妬・強欲(デビル)
  • ・社会貢献 ⇔ 支配・優越感・自慢・名誉欲
  • ・安定志向 ⇔ 逸脱・激動・常識破壊
  • ・快適志向 ⇔ 快楽・怠惰・手抜き欲
  • ・計画性 ⇔ 逃避・現実逃避

ビジネスの現場では、こうした邪な欲望が軽視されがちですが、文化やエンタメでは積極的に取り扱われています。このバランス感覚がインサイト発見に不可欠です。

※ 参考資料(PDF):人間の欲望を、デビルとエンジェルの両面から8象限で一覧化した「欲望マンダラ」

n=1リサーチとAIの融合「アート&サイエンス」

デコムでは、具体→抽象→具体の思考プロセスを基本にインサイト仮説を立てます。

  • ・具体(事実観察):例)38歳女性が普段はカロリー制限をしているが肉料理でストレス発散する
  • ・抽象(インサイト仮説):たまにはがっつり食べたいが今のマックには魅力を感じない
  • ・具体(アイデア開発):クォーターパウンダー、メガマック

このプロセスをAIで再現するのがデコムAIです。心理学の投影法を活用し、通常は表出しにくい邪な欲望までデータ化。さらに、世界10カ国・6,000万人規模のデータパネルにより高品質なn=1情報を蓄積しています。

実践ノウハウ:デビルトレーニングのすすめ

誰でも今日から実践可能なのがデビルトレーニング(デビトレ)です。手順はシンプルです。

  1. デビルな欲望を満たしている事象を探す
  2. それが解消している欲望や葛藤を言語化する

例えば「異世界転生アニメの人気」は、

  • ・現実逃避欲求
  • ・特別になりたい欲求
  • ・日常脱却欲求

などが絡んでいます。投機欲、傲慢欲など複合的な欲望が関与しているケースも多く、実践を通じて理解が深まります。

まとめ

n=1リサーチ邪な欲望の分析を武器に、インサイト発見を科学する株式会社デコム。その知見は、マーケター・リサーチャーにとって貴重なヒントとなるはずです。AI時代に求められるアート&サイエンスの実践にご興味のある方は、ぜひ株式会社デコムのホームページよりお問い合わせ・資料ダウンロードをお申し込みください。

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参考:今回のセミナーで使われた用語の定義

【定義】インサイト:本人も無自覚で言葉にできない潜在的欲求や心理のこと。
【定義】n=1リサーチ:一人の生活者を深く観察し、普遍的なインサイトを導き出す調査手法。
【定義】欲望マンダラ:エンジェルな欲望とデビルな欲望を体系整理したインサイト分析フレーム。
【定義】デコムAI:具体→抽象→具体のプロセスをAIが再現し、大量の定性情報を分析するシステム。
【定義】デビルトレーニング(デビトレ):邪な欲望を捉える実践トレーニング法。

参考:今回のセミナーのFAQ

Q1. デコムのインサイトリサーチの強みは何ですか?
A. n=1リサーチ邪な欲望に着目した深い顧客理解が特徴です。AIと心理学を活用し、通常の調査では拾えないインサイト仮説を抽出できます。

Q2. 邪な欲望とは具体的にどんなものですか?
A. 嫉妬・強欲・優越感・怠惰・現実逃避など、本人も自覚しにくいネガティブ側面の欲望です。これが消費行動の重要な動機になる場合があります。

Q3. デコムAIはどのように活用されていますか?
A. 大量のn=1データをAIが具体→抽象→具体プロセスで分析し、インサイト仮説を出力します。邪な欲望の可視化にも強みがあります。

Q4. デビルトレーニングはどんな人におすすめですか?
A. 商品開発、マーケター、リサーチャー、企画職など、顧客理解が必要なすべてのビジネスパーソンに役立ちます。

Q5. 欲望マンダラはどこで学べますか?
A. ベストセラー書籍『欲しいの本質』で詳しく解説されています。また、株式会社デコムのホームページでも資料が入手可能です

※ 書籍紹介:ロングセラー「欲しいの本質」が宣伝会議2024年「書籍ランキングベスト10」にランクイン!

 

会社紹介

株式会社デコムは、インサイトリサーチを専門とする企業として、2004年に設立されました。設立から現在まで21期目を迎え、「世界中の人々の声なき声を形にする」というパーパスと、「気持ちいい未来をデザインする」というビジョンのもと、事業を展開しています

事業領域は以下の3つに分かれます:

  • インサイトリサーチ事業(プロに依頼したいニーズに対応)
  • 教育研修事業(自社内で実践したいニーズに対応)
  • TrendbanK(n=1の定性情報を日々配信するメディア)

さらに、2023年11月にはデコムAIをローンチし、AIを活用したインサイト抽出も実現しています。

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